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暗黒音楽玉手箱

ダークで美しい音楽を節操なくマイペースに紹介していきます。HR/HMが中心ですが、時折Goth/Darkwave/Industrial/Electro系も。青は個人的おすすめソング。

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陰陽座「臥龍點睛」(2005年) 

陰陽座「臥龍點睛」(1)

1. 靂
2. 龍の雲を得る如し
3. 彷徨える
4. 甲賀忍法帖
5. 不知火
6. 鬼ころし
7. 月花
8. 蛟龍の巫女
9. 組曲「義経」~悪忌判官
10. 組曲「義経」~夢魔炎上
11. 組曲「義経」~来世邂逅
12. 我が屍を越えてゆけ

日本が誇る実力派妖怪メタル、陰陽座の6枚目。
陰陽座のアルバムの中では賛否両論ある盤だが、最大最強のキラー・チューン"蛟龍の巫女"が入っている - それだけでも一聴の価値大ありなので紹介しておこうかと。
ただ、もちろんそれだけではない。
1st~3rdの頃に見られたドロドロ淫靡な世界観ははかなり減退しており、淡白な印象が残るアルバムではある。しかし楽曲単位で見た場合、その質は非常に高い。

陰陽座「臥龍點睛」(2)

アニメ「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」のオープニングにも起用された#4は、陰陽座の忍法帖シリーズの中でもかなりキャッチーなナンバーだ。それでいて程良くメタルでメロディの質も半端ない。
黒猫のヴォーカルは非常に伸びやかな広がりを見せているし、加えてPVも超クールだ。
陰陽座お得意の「歌謡メタル」の極致だろう。

トータル演奏時間が23分強に及ぶ大作"組曲 義経"。
3つのパートがそれぞれ"攻"・"怨"・"哀"の曲調にはっきりと分かれているため、曲単位で聴いても楽しめる作品だ。
特に#10の"引き"と"押し"を巧みに操る緩急自在の表現力は見事なもの。長尺な曲であるにもかかわらず、まったくだれることなく一気に聴かせてくれる。黒猫の演劇的で豊かな感情表現も相まって、鳥肌もののドゥーム・ナンバーに仕上がっている。

その他にも、1st Verse/2nd Verseとせり上がってきた感情が一気に爆発する様が至極な#2、瞬火・黒猫がハモリで合唱する甘く美しい#7、組曲の後にもってくるには少々蛇足感が否めないが、陰陽座なりの揺るがぬ信念を感じさせる#12と、曲単体で見た場合は名曲・佳曲が目白押しだ。
にもかかわらず、このアルバムの評価が今一つのなのは、ひとえにその音質の薄っぺらさ故なのだと思う。
とにかく、音にメタル然とした厚みがまったくと言っていいほどに、ない。
バッキングの音が引っ込み過ぎていて、その上こもり気味。ドラムの音なんてホントにひどいものだ。どの曲でもポコポコトストス・・・この程度なら生音でなくサンプリングでも十分なレベル。
もしかしたら陰陽座のファン層を広げようと意識的にヴォーカルを前面に出したミキシングを施した結果なのかもしれないが、サウンド・プロダクションがもっとソリッドなものだったなら屈指の名盤になっていたことはおよそ間違いない。

しかし、だ。
このアルバムには、そんな些末な欠点を一瞬で帳消しにしてしまう最大最強完全無欠のキリング・チューンが収録されいてる。
それが#8の"蛟龍の巫女"だ。
陰陽座の楽曲の中では稀な黒猫作曲の曲だが、中身は悶絶メロスピ・ナンバー。
黒猫ははるか以前にも"陰陽師"というメロディック・スピードを書いているが、"蛟龍の巫女"は"陰陽師"からB級臭さを払拭した進化系と言えるのではないだろうか?
とにかく、"この手"の曲で数年聴き続けても全く飽きを感じさせないというのは尋常なレベルではない。
既に僕のiTunesでの再生回数はとっくの昔に4桁台に乗っている。
それはもちろん楽曲の常軌を逸したクオリティのせいでもあるのだろうが、同時に黒猫の神がかりなヴォーカルの為せる業なのだと思う。
美しく激しく、そして艶やかに突き抜けるが如く乱舞する彼女のヴォーカルは、もうなんというか・・・人智を超えた神の領域。のっけから凄まじいのに、曲の後半に行くに従ってさらに力が増していく。
これだけのハイトーンを絞り出しているのに一切ぶれることなく、さらにメタル・シンガー特有の線の細さすら微塵も感じさせない。神か・・・神なのか!? 
彼女ほどの卓越した女性シンガーを、僕は未だかつて彼女以外には知らない。僕にとって唯一無二の存在だ。
これだけのクオリティの曲を書き、そこにこれほどまでの類稀なる声の魔法を乗せることのできる黒猫という女性。「才色兼備」という言葉は彼女のためにあるようなものだろう。

YouTubeではスタジオ・テイクがアップされていなかったので、このブログのリンク先はLive音源だ。
しかしLiveにおいても、黒猫のヴォーカルはスタジオ録りと比べてなんらの遜色もない。
むしろLiveの方が先ほど述べた音質の難が払拭され、ギターも太鼓も非常にタイトで生々しい自己主張をしている。そのため"蛟龍の巫女"が本来持つアグレッシヴな魅力が存分に活かされているとも言えそうだ。


【甲賀忍法帖(PV)】



【蛟龍の巫女(Live)】
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Posted on 2012/02/25 Sat. 22:58 [edit]

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janre 音楽

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DREADFUL SHADOWS「Buried Again」(1996年) 

DREADFUL SHADOWS「Buried Again」(1)

1. Providence
2. Chains
3. Condemnation
4. Dusk
5. Obituary
6. Everlasting Words
7. Dissolution
8. Mortal Hope
9. The Racking Call
10. Buried Again

ドイツの絶望系Goth Rockの2nd。
リリース当時、Nuclear Blastが出していた企画物のPV/Live集「Beauty In Darkenss」のvol.1だか何かで、このアルバム収録の"Dusk"のPVを見て一発で気に入って即買いした記憶がある。
Goth Rock/Gothic Metalにカテゴライズされることの多い音だが、その出生であるとかヴォーカルの容姿であるとか、はたまた音そのものの持つDark Wave臭さであるとか、そんなものが相まってNew Waveサイドでの露出ばかり高くなってしまい、メタル界隈ではほとんど話題に上ることのなかった不運な連中だ。(そういった意味ではLACRIMOSAなんかも一歩間違えればやばかったとも言える。)

DREADFUL SHADOWS「Buried Again」(2)

非常に絶望的な哀愁に満ちたインスト・パートの上を、SISTERS OF MERCY風のあまり抑揚のない低音ヴォイスが朗々と救いのない言葉を吐き出し続ける。
音全体がどことなく暗く霧がかっており、アルバム・アートワーク通りの荒涼とした退廃的な雰囲気が終始貫かれている。

#4は先ほど述べたようにPVも作成されているなかなかの名曲。女性Vo.入りだ。(但し、PV見る限りはおばさんだった気がする!)
ミドルテンポの哀愁に満ちたナンバーなのだが、静から動への曲展開が自然と涙を誘う。

#2も最高の出来だ。アルバムの中ではかなりメタル寄りの曲だが、その焦燥感・悲壮感といったら半端ない。

"And I'm tired now, I don't care anymore.
'Cos there is nothing I can do, nothing I could ever do.
And my chains won't fall."

「もう疲れた。何も考えたくない。俺にできることは何一つない。俺に絡みつく鎖が外れることはない。」 ブリリアント・・・。心が洗われるようだ。

サイレント・ナンバー#5の寂寞感も耳に心地良い。単調なピアノの調べに導かれるように遠くから聞こえてくる女性スキャット。そして鬱度満載の虚無な展開へ。

後半ややだれるのが惜しいところだが、それでも前半#1~#6辺りまでの完成度はなかなかに神がかっている。
より多くの人に知ってもらいたい、Gothic Metalの隠れた名盤だ。


【Dusk】

Posted on 2012/02/20 Mon. 03:24 [edit]

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janre 音楽

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ELUVEITIE「Helvetios」(2012年) 

ELUVEITIE「Helvetios」(1)

1. Prologue
2. Helvetios
3. Luxtos
4. Home
5. Santonian Shores
6. Scorched Earth
7. Meet The Enemy
8. Neverland
9. A Rose For Epona
10. Havoc
11. The Uprising
12. Hope
13. The Siege
14. Alesia
15. Tullianum
16. Uxellodunon
17. Epilogue
18. A Rose For Epona (acoustic version) *Bonus Track(digipak only)

スイスのFolk/Pagan Metalの雄、ELUVEITIEの6thフルレンス。
自ら"New Wave of Folk Metal"と豪語するだけあって、なかなかナイスな音を演っている。
他のFolk Metalバンドと同様に、しっかりしたMetalの下地の上に、バグ・パイプ、フィドル、ティン・ホイッスル、マンドリンといった民族楽器が華を添え、非常に土着的な音像を演出している。
時折ケルティックな側面も垣間見えるので、Celtic MusicとExtreme Metalのコラボレーションと捉えるとピンときてもらえるかもしれない。

ELUVEITIE「Helvetios」(2)

サウンド・スタイルは前作の「Everything remains」と基本的に同じ。安心のELUVEITIEブランドだ。
前作以上に縦笛が乱舞しまくっており、僕のような年寄りはDARK REALITYの(たしか)2nd「Blossom Of Mourning」あたりを思い出してしまう。
ただ、ELUVEITIEにはDARK REALITYのようなゴシックかつロマンティックな要素は皆無だし、あそこまで胡散臭くもない。
それはやっぱり、根っこがツインリードバリバリのMelodic Death Metalだからだろうし、ELUVEITIEフリークの中にはそこのところに彼らの価値を見出す人もたぶん多いんだろうと思う。
でも、彼らの”メロデス”的な側面は僕にとっては正直今一つだ。
Melodic Death MetalとFolk/Paganの融合は今では多くのバンドが試みている表現方法だけどれども、その点に関しては例えばFINNTROLLやEQUILIBRIUMあたりに軍配が上がるんじゃないかな、と個人的には思っている。

それならなんでここでELUVEITIEを紹介しようと思ったのか? - それは、彼らが一握り程度の曲で露わにしてくれているとてつもない叙情性故だ。
それらの曲は、毎回アルバム内の他の曲とは多かれ少なかれ毛色が異なっている。
前作で言えば"Thousandfold"がそうだし、あるいは「Evocation I – The Arcane Dominion」アルバムにおいては"Omnos"が顕著だった。
そして、今作「Helvetios」では、PVも作成されたリーダー・トラック"A Rose For Epona"がそれだ。
端的に表現するならば"Omnos"と"Thousandfold"のハイブリッド・ソングといった感じ。つまり”いいとこ取り”だ。
メタルからは距離を置いた超極上トラッド・フレーバーと、激情系メタルの持ちうる抑えがたい扇情力が一体となった奇跡の一曲と言って差し支えないだろう。
中間部クライマックスの男女ツインボーカルからの慟哭グロウル、そして泣きのTin Whistleパートへと・・・この辺りの展開なんて、もうツボ過ぎて悶絶もの。
独特の癖のある歌いまわし(訛り?)をする女性ヴォーカルも、異国的な雰囲気を醸し出すのに一役買っていていい感じだ。

というわけで、アルバム通しての評価は今一歩だけど、"A Rose For Epona"を聴くためだけでも購入する価値のあるアルバム。それが「Helvetios」だ。
"A Rose For Epona"がしっくりきた方は、是非Youtubeで"Omnos"と"Thousandfold"のPVも見てほしい。
きっとグッとくる筈だから!

ちなみに、彼らのメタメタしい側面にも興味がある方は、このアルバムの中では#7か#10辺りをお聴きになってみると良いかもしれない。
Folk Death Metalの意味合いが如実に理解できる一品だ。


【A Rose For Epona(PV)】





Posted on 2012/02/16 Thu. 03:28 [edit]

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janre 音楽

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TIAMAT「Clouds」(1992年) 

TIAMAT「Clouds」(1)

1. In a Dream
2. Clouds
3. Smell of Incense
4. A Caress of Stars
5. The Sleeping Beauty
6. Forever Burning Flames
7. The Scapegoat
8. Undressed

スウェーデンの大御所Dark Metalバンド、TIAMATの3rdフルレンス。
僕の人生の中で、おそらく最も聴き込んだアルバム。歌詞も未だにすべて空で言える代物だ。
アルバムを手に入れたのは確か高校2~3年の頃だったと思うが、当時は寝ても覚めても熱病に侵されたように聴きまくっていた。
Dark Metalにどっぷり溺れるきっかけを作ってくれた特別な一枚。
「Clouds」との出会いがなければ今の僕という人間はいなかったと言っても過言ではない。
そんな神の領域のアルバムだ。

TIAMAT「Clouds」(2)

「Clouds」は彼らの作品の中でもとりわけゴシック色が強いアルバムだ。
しかし"Gothic"とは言っても、歪んだギターの上に優麗なストリングスと妖艶なソプラノが乗るといった典型的なGothic Metalとはちと違う。
もっとこう・・・幽鬼的かつ沈み込むような美しさ、つまりDoom Metalに近い。
しかしながら、コーラスパートで唸りを上げる野太く雄臭いダミ声はDeath Metalのそれだ。
Candlemassを氷漬けにして、もちっと質量を軽くし、そこに死と退廃のエッセンスをたっぷりブレンドして、ついでにヴォーカルもサイババからニヒルでかすれがちな闇の咆哮に置換 - そんな感じの耽美なDark Music。
自分で言っていても何だか良く分からなくなってきたが、とにかくそれだけ説明しがたいほどに当時としては激しく新鮮な音だったのだ。
現在彼らが欧州で確固たる地位を獲得し、「Dark Metalのパイオニア」と呼ばれる所以がここにある。

収録されている曲は、リストが青一色なのを見ても分かる通りどれもこれも素晴らしい。
何故かここ日本では「Cloudsは退屈、微妙」といった意見をちらほらと耳にするが、さっぱり意味が分かりません。
退屈うんぬんで言えば、「A Deeper Kind of Slumber」以降のTIAMATの方がよっぽど退屈。
その辺から彼らは、なんだか良く分からないサイケでアトモスフェリックな小難しいバンドに成り下がってしまった。
一部"Cold Seed"のような佳曲もあるにはあったが、僕にとっては「A Deeper Kind of Slumber」は多くを感じることのできないアルバムだった。
その後も彼らはetherealでambientな方向性を推し進めていくことになり、結局僕はすっかり彼らへの興味を失ってしまった。
今では彼らがどんな音楽をやっているのかすら知らない。

話を戻そう。
彼らがそんな残念なことになる前の(僕的には)絶頂期の作品が「Clouds」というわけだ。
PVが作成されていることから判断するに、アルバムの中では#5がリーダー・トラック的位置づけだったのだと思う。
アルバムの中でも最もヘヴィネス臭漂う曲なので一般受けしやすかったのかもしれないが、他の曲も決して見劣りしない・・・というか、それ以上のクオリティの曲もちらほら、だ。
耽美でドゥーミーな雰囲気を味わってみたいなら#1、ぞっとするような寒気を感じてみたいならば#4・8あたりがお勧めか。(特に#8のラストは・・・。)
とにかくどの曲も、”美”と”醜”の対比が見事なバランスで結実した怪作だ。

「Clouds」に出会ってからかれこれ20年近くの歳月が流れ、"Whatever That Hurts"のPV辺りで他人事ながらに心配していたJohan(Vo.)の頭はきれいさっぱり禿げ上がり、僕は僕ですっかりおっさんになってしまった。
けれども、僕の心の中では2nd~4thの頃のTIAMATは今でも燦然と輝き続けている。
中でも3rdの「Clouds」は決して忘れることのできない名盤中の名盤なのだ。


【Sleeping Beauty(PV)】※音質・画質悪し

Posted on 2012/02/09 Thu. 04:19 [edit]

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janre 音楽

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ALL ABOUT EVE「Winter Words - Hits And Rareties」(1992年) 

ALL ABOUT EVE「Winter Words - Hits And Rareties」(1)

1. Our Summer
2. Flowers In Our Hair
3. In The Clouds
4. Martha's Harbour
5. Every Angel
6. Wild Hearted Woman
7. What Kind Of Fool
8. Road To Your Soul
9. Scarlet
10. December
11. Farewell Mr. Sorrow
12. Strangeway
13. The Dreamer
14. Paradise
15. Candy Tree
16. Drowning
17. Wild Flowers
18. Theft
19. Different Sky

至高の歌姫、Julianne Reganを擁するALL ABOUT EVE - 彼らのPhonogram在籍時のベスト盤としてリリースされたアルバム。つまり、1st~3rdアルバムをリリースした時期だ。
当然、彼らが最も輝いていたと言われる1st/2ndからの選曲が大半を占めているのだが、注目すべきは、アルバム・タイトルからも分かる通り未発表曲の多さである。
彼らはその活動期間の短さの割に、膨大な量のシングルをリリースしている。
その中にはアルバム収録曲の別テイクや未発表曲が多く含まれているのだが、困ったことにこれがまた秀逸な出来なのだ・・・。
特にアルバム未収録曲のクオリティはすこぶる高く、それを聴かずしてAAEは語れないと言っても過言ではないほど。
そういった意味でこのベスト盤は、AAEのアルバムを全て揃えていても買わねばならない、「かゆい所に手が届く」財布に優しい一品だと言えるだろう。

元々THE MISSIONとの交流からシーンに浮上してきたバンドなだけに、どうしてもGothのイメージがまとわりついて離れない人も多いようだが、AAEは決してGothではない。
アコースティック風味の繊細かつ透明感のあるメロディにJulianneのたおやかでかげりのあるヴォーカルが乗るそれは、一連のNew Waveバンドと一緒くたにするにはあまりに神秘的で、あまりに美しすぎた。
結果、彼らはGothフリークよりもむしろプログレ・ファン、場合によってはHR/HMファンに大きく支持されることとなった。
彼らのアルバム、特に名盤「Scarlet And Other Stories」などは、英国のトラッド・フォークからの影響が色濃く表れており、郷愁を誘うかのようなロマンティシズムに満ち溢れたその音が、頭でっかちのプログレ野郎の心を激しく癒したに違いない。

ALL ABOUT EVE「Winter Words - Hits And Rareties」(2)

「Winter Words」は、そんな彼らの黄金期からの選りすぐりを集めただけあって、どの楽曲も粒揃いだ。

#1
アルバム未収録の隠れた名曲。初期の作品であり、なおかつTHE MISSIONのWayne Husseyプロデュースということもあり、AAEの曲の中でもそれなりにゴス・テイスト漂う作風だ。
とは言え、Gothにありがちな鬱屈した閉塞感はここでは皆無。
むしろ冷え切った曇り空に広がり続けるような、奇妙な解放感に包まれた印象の曲だ。

#10
AAEの代表曲であり出世作。いくぶんハードなエッジの効いた曲ではあるが、それとは対照的にJulianneの歌声はどこか切ない響きを持っている。
タイトルは"December"だが、落ち葉の季節の訪れと共にふと耳にしたくなる哀愁漂うナンバーだ。

#11
メイン・ソングライターのTim Bricheno脱退により、ガラッと作風が変わった3rdアルバムからのシングル。
今までのAAEからは想像できないようなpopでキャッチーなナンバーだが、しかしそれでもAAE。この清涼感と透明感は病みつきになるレベル。
自分的にはAAEの曲の中でも一二を争う出色の出来だと思っているのだが、いかがだろう?

#19
こちらも#1と同じくアルバム未収録曲。しっとりしたAAE節は健在だが、爽やかで希望に溢れたイメージの、彼らの他の曲とは少々毛色の異なる異色の名曲。
こんないい曲、アルバム未収録にしちゃダメだぜ・・・。


他にも名曲・佳曲が目白押しの宝石箱のようなこのアルバム。「これからAAEを聴いてみようかな・・・」と考えている方にとっては非常に便利なお役立ちの一枚であることは間違いない。
このアルバムを聴いてAAEへの興味が最高潮に達したなら、是非とも1st「All About Eve」と2nd「Scarlet And Other Stories」も手にしてほしい。
どちらもNew Wave史上に残る、決して色褪せることのない素晴らしい名盤なのだから。


【December(PV)】



【Farewell Mr. Sorrow(PV)】

Posted on 2012/02/04 Sat. 08:11 [edit]

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DEVIL DOLL「Dies Irae(邦題:怒りの日)」(1996年) 

DEVIL DOLL「Dies Irae」(1)

1. Dies Irae

スロヴェニア出身のカルト・バンド、DEVIL DOLLの4th。彼らの最高傑作と名高いアルバムである。
DEVIL DOLLはバンドとは言っても実質はMr.Doctorなる人物のソロ・プロジェクトだ。
作詞・作曲・トータルコンセプトを全て彼が務め、レコーディングにおいては彼が担うパート以外は全てセッション・ミュージシャンを起用している。

ヨーロッパにあるということ以外はなんだかピンとこないスロヴェニアという国名、Mr.Doctorという人を食ったようなネーミングセンス - それだけでも十分胡散臭いのだが、肝心の音の方はそれに輪をかけたように胡散臭い。
彼らの音楽は「耳で”見る”オカルト・ホラー・ムービー」。一言で言うとズバリこれだ。
どぎついGothic Rockを指して、しばしば「ホラー映画のサントラのような」と表現されることはあるが、音自体がホラー映画そのものであるといったパターンは意外にも少ない。
僕の記憶する限りではKING DIAMOND辺りがそれに近いか。
コンセプチュアルなホラー・アルバムという意味合いでは両者は確かに類似しているが、KINGのそれが(例のヴォーカルさえ除けば)オーセンティックなHeavy Metalであるのに比べ、DEVIL DOLLのそれは、よりクラシカル、よりシアトリカル、そしてより・・・偏執的だ。

DEVIL DOLLは多分にChamber Rock的な雰囲気を兼ね備えており、それ故プログレ畑で語られることが多いアーティストだ。
けれど、実はメタル耳にも十分に受け入れられる素質を持ったバンドでもある。
特にこの4thアルバムは、大仰で身の毛もよだつ不気味さを過去の作品群から引き継ぎつつも、要所要所にメタル魂を揺さぶるギターメロディやパワフルで扇情的な展開が顔を覗かせたりする。
Mr.Doctorの声質も踏まえ、LACRIMOSA辺りを好んで聴く方ならば、もしかしたらDEVIL DOLLも気に入っていただけるかもしれない。

DEVIL DOLL「Dies Irae」(2)

「Dies Irae(邦題:怒りの日)」は、先ほども述べたように彼らの最高傑作と評価されることの多いアルバムだ。
スタジオが火災(テロ?)に遭い、一度はマスターテープが消失してしまったといういわくつきの過去もある。
CD内の電気信号自体は便宜上16トラックに分かれているが、実際は1曲のみ。
曲間一切なしの完全な1曲構成。46分の大作だ。(まあ、彼らのアルバムはどれもこれもそんな感じだけれど。)
過去の作品同様に完全なフルオーケストラ、混声合唱を導入しての暗黒耽美、狂気と妖気がないまぜになった恐怖のパラノイア音楽が、46分もの間延々と耳を刺激し続ける。
ただ、その冗長とも言える時間軸の中で緩急自在に目まぐるしく展開されるシアトリカル・ワールドは、決して聴き手を飽きさせない。
もちろん、好き嫌いがはっきり分かれる音楽であることはまず間違いない。
人によっては、不安をいたずらに煽るかのような緊迫感のあるストリングスが唐突に耳を突くオープニングから、いきなり嫌悪感を抱いてしまうかもしれない。
そして追い打ちをかけるかのように、Mr.Doctorの爬虫類が絡みつくかのような執拗なまでに不気味で狂気を孕んだヴォーカルが覆いかぶさってくる。
この時点でプレイヤーの停止ボタンを押してしまう人はかなりの数にのぼるだろう。
けれど、あとほんの少し待ってほしい。
あともう少し聴き続ければ(そしてMr.Doctorの声に慣れてしまえば)、DEVIL DOLLの持つ、-極めて内省的ではあるけれども- 計算しつくされた純粋なSymphonic Musicとしての類稀なる構成力と美意識に気づいてもらえることだろう。
それはもしかしたら、Symphonic Rock/Theatrical Rockの異形な完成形態であるのかもしれないのだ。

Mr.Doctorが表現しようとしている、いびつで濃密な暗黒の精神世界。
一度でもその虜になってしまうと、もはやあらゆる類いのコンセプト・アルバムが殊更にチープで表面的なものに感じてしまう。
僕が行き着いた先の、最高の暗黒音楽としての一つの答えがここにある。


【Dies Irae】

Posted on 2012/02/01 Wed. 07:23 [edit]

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